以前の記事で、統計検定2級がどういった試験なのかを紹介しました。
本記事では、それを受けて、統計検定2級の合格を目指す対策・勉強法を解説します。
- どういった勉強をすれば合格できるか?
- 参考書は何がおすすめか?
こういった疑問に答えます。
統計検定2級に約3週間で一発合格しました。
1. 統計検定2級について
「統計検定」は、統計に関する知識や活用力を問う資格です。
データに基づいて客観的に判断し、統計を活用する能力が試されます。
統計検定2級はその試験の中の一つです。
詳細は別記事にてまとめています。
2. 統計検定2級の勉強法
統計検定2級の勉強は、次の2ステップで実施します。
2-1. 試験範囲を網羅する基礎固め
統計検定2級の試験問題の特徴として、「広く、浅く」があげられます。
つまり、多岐にわたる試験範囲をカバーする形の基本問題がメインとして出題されます。
一部難問はありますが、基本問題のみで合格のボーダーに達することができます。
学習の際は、出題内容となっているトピックを一つずつ着実に押さえることが重要です。
テキストやアプリなどで対象の範囲をはじめに一通り勉強します。
2-2. 過去問を用いた演習
試験範囲の学習が済んだら、過去問や問題集を用いてひたすら演習します。
統計検定2級の多くの問題は出題の傾向が決まっています。
試験当日、過去問で見た問題と似通ったものが思いのほかたくさん出題されて驚きました。
主要な問題や大まかな傾向、検定時の時間配分を身に着けることで、合格に大きく近づきます。
3. 統計検定2級におすすめの教材・参考書
統計検定2級の合格を狙ううえで、私が実際に用いて有用だと感じた書籍やwebサイトを紹介します。
「2-1. 試験範囲を網羅する基礎固め」で述べた、学習必須のトピックをカバーするうえで役に立ちます。
- 『統計学の時間 – 統計WEB』…webサイト
- 『やさしい統計入門』…ブルーバックスの書籍
- 『明解演習 数理統計』…確率・統計の参考書
3-1. 『統計学の時間 – 統計WEB』
最初に紹介する教材は、『統計学の時間 – 統計WEB』というwebサイトです。
データ分析、確率分布、推定、検定、線形モデルなど、合格に必要な知識が項目別に解説されています。
このサイト1つで、大学基礎課程の確率・統計や統計検定2級の内容がほぼ完全に網羅されている点が魅力的です。
スマホ1つで学習できることと、1項目につき5~10分でサクサク読めることが便利でした。
教材の特徴として、以下のような点があげられます。
メリット①:数学が苦手な方への配慮
統計検定2級で必要な数学レベルは、せいぜい高校2年までです。
それに合わせて、『統計学の時間』でも必要以上の数学は使われません。
最小限の数学も補足ページで紹介されており、初学者がつまづかない工夫を凝らしていると思われます。
また、数式の変形も丁寧でわかりやすいです。
メリット②:豊富な具体例と付属の練習問題
一般に数学の参考書は、抽象的な概念(公式や定理)が多く、往々にして理解が困難に陥ります。
しかし、『統計学の時間』は各解説ページで具体例の紹介に力を注いでいます。
概念の理解を助けるだけでなく、実際に問題を解くときにどのように考えればよいかわかることが良い点です。
また、各項目学習後には関連する練習問題も登場します。
具体例とあわせて、理解が進む仕組みが整備されています。
メリット③:丁寧にレベル分けされた学習内容
『統計学の時間』の学習項目は、初級編、基礎編、中級編、実践編にすみわけされています。
統計検定2級を合格するためには、基礎編がクリアできれば必要十分です。
その準備段階として、初級編も用意されています。
高校数学や統計検定3、4級の基礎的な内容(データのばらつき、代表値など)が登場します。
2級の学習を始める前に必要な知識を確認することができるという利点があります。
そのため、統計学を学んだことがない人の基礎固めにも役に立つコンテンツがそろっています。
3-2. 『やさしい統計入門 – 視聴率調査から多変量解析まで – 』
続いて紹介する教材は『やさしい統計入門 – 視聴率調査から多変量解析まで – 』というブルーバックスの本です。
こちらは「参考書」というより「読み物」ですが、純粋に面白いです。
上述の『統計学の時間』同様、具体例が豊富で為になります。
書籍名 | やさしい統計入門 – 視聴率調査から多変量解析まで – |
著者 | 田栗正章、藤越康祝、柳井晴夫、C.R. ラオ |
出版社 | 講談社 |
発売日 | 2007年6月21日 |
扱っている統計学はほとんど統計検定2級の内容です。
日常生活に近い題材で、具体例から理論を納得しやすい構成になっています。
スーパーの買い物から中心極限定理につながった時は「なるほどなぁ~」と思いました。
ただし、試験範囲の網羅性は『統計学の時間』に劣るため、補助的に活用するのが良いと思います。
3-3. 『明解演習 数理統計 (明解演習シリーズ)』
最後に紹介する参考書は、共立出版株式会社の『明解演習 数理統計 (明解演習シリーズ)』です。
発売日が1986年と歴史ある本ですが、根強い人気がある統計学の参考書です。
書籍名 | 明解演習 数理統計(明解演習シリーズ) |
著者 | 小寺平治 |
出版社 | 共立出版 |
発売日 | 1986年10月1日 |
本書は統計検定2級に特化した問題集ではないため、注意が必要です。
高校3年や大学レベルの数学の知識を前提とした部分もそれなりに登場します。
特に、1~3章の確率分野はハードルが高いです。
『統計学の時間』を一通りこなしたうえで補強のための取り組むのが良いと思います。
特に、演習が不足しがちな検定・推定のところをたくさんの例題で補う使い方が効果的でした。
解説が非常にわかりやすいので重宝します。
数学が苦手な方でも、検定・推定は高度な数学が出ないので、前半より幾分読みやすいと思います。
4. 統計検定2級の過去問題集
4-1. 統計検定2級の過去問は公開されているか?
結論から言うと、統計検定2級の試験問題は、PBT方式は公開されていますが、CBT方式は非公開です。
CBT方式では、システム上にあらかじめ登録された問題の中から、検定時にランダムに選ばれて出題されます。
問題が再利用されるため、公開できないということです。
一方で、「4-2. 公式問題集(過去問)」で紹介しますが、2021年まで実施されたPBT方式の過去問が書籍で公開されています。
PBTとCBTで問題はさほど変わらないため、こちらを活用することが有効です。
4-2. 公式問題集(過去問)
『日本統計学会公式認定 統計検定2級 公式問題集[2018~2021年]』は、PBT方式の検定問題が掲載された問題集です。
2018年から2021年までの計5回分の過去問が集録されています。
書籍名 | 日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2018〜2021年] |
出版社 | 実務教育出版 |
発売日 | 2021年11月25日 |
繰り返しになりますが、CBT形式の試験でもこの問題集の類題が頻繁に出題されます。
この過去問が安定して解けるようになれば、必ず合格できます。
それほどまでに、出題される問題がパターン化されています。
時間(1回90分)を測りながら解き、要求されるスピード感を身体に覚えこませます。
また、解けなかった問題も徹底的に復習して、すべて理解するくらいの気持ちで取り組みます。
統計検定2級は過去問がすべてと言っても過言ではありません。
5. まとめ
統計検定2級について、試験の概要から勉強方法について解説してきました。
統計学はニーズが高い一方で、習熟した人材が少ないのが現状です。
そのような背景で、統計検定2級は「統計学が使える人材」と主張できる資格の1つです。
専門性はさほど高くありません。
今回紹介した教材や問題集・参考書を用いて正しく勉強することで、誰でも合格は十分に狙えます。
今回の記事が資格取得の参考になれば幸いです。
ありがとうございました。