1. 背景 – 資料作成で怒られ続けた日々
現在、仕事で営業資料を中心にさまざまなドキュメントの制作を依頼されます。
しかし、最初からパワーポイントによる資料作成が得意だったわけではありません。
高校の時の国語の成績はずっと “3”。
とても文章を考えるのは得意ではありません。
デザインに関しては論外で、絵を描くのは拒否反応が出るくらい苦手です。
学校での美術の成績は万年2か3でした。
1-1. 学生とプレゼン資料
パワーポイントで本格的に資料を作るようになったのは、大学院に入ってからです。
学会での発表資料が、初めて対外的に作った資料でした。
一週間かけて作成したプレゼン資料を教授に見せたところ、返答はシンプルでした。
「作り直し。」
当時の私は、発表の時に「何を」「どのような順序で」「どのような強弱で」話したらよいか、知識が一切ありませんでした。
他の人の資料や前例を勉強することも怠ったため、全く見当違いなものを作ってしまったという背景もあるでしょう。
1-2. 社会人と営業資料
社会人になって最初に営業資料を作る機会がありました。
必要最低限のパワーポイントの使い方を研究室時代に習得したこともあり、作成自体は苦労しませんでした。
しかし、作成したスライドの1ページを見せた上司が放った一言は、
「どう説明するつもりなの?」
というものでした。
伝えたい内容は網羅されていたが、各要素をどう配置したらよいかわかっていませんでした。
そのため、説明順序や読み手の視線の動きにそぐわないものになってしまっていました。
このとき初めて、読み手への配慮が行き届いたものが見やすい資料であると学んだような気がします。
2. なぜプレゼン資料作成は難しいのか
プレゼンテーションや営業に用いるような、パワーポイントの資料作成は簡単ではありません。
その理由は、大きく次の3つあると、私は考えています。
- 資料の構成を考えることが難しい
- デザインを考えることが難しい
- 考えたデザインを実現することが難しい
2-1. 構成を考えることが難しい
営業資料の作成を依頼されて、さっそくパワーポイントを開いていないでしょうか?
さっそくスライドの作りこみを始める人がいますが、それでよいプレゼン資料ができるとは思いません。
プレゼン資料の目的は、相手に理解してもらうことにあります。
理解をしてもらうにはロジック(論理)で左脳に働きかける必要があります。
ビジュアルは理解を補助するために右脳に働きを促すためのものです。
デザインを作るためには、まず前提となるロジックを編み出すことが必須なのです。
しかし、「相手に自分の考え方を理解してもらう」ことは想像以上にうまくいきません。
物事が全然伝わらず、かなりかみ砕いてようやく伝わったという経験は普段の会話でもあると思います。
2-2. デザインを考えることが難しい
人間は文章のみの資料よりも、適度に図がある資料のほうを好みます。
文章に合う適切な図解を考えるのは、非常に大変な作業です。
どんな表現がどのように伝わるのか?
どのような表現のバリエーションがあるのか?
ある程度のルールや型を知らないと、ロジックとデザインがうまくかみ合わなくなります。
2-3. 考えたデザインを実現することが難しい
秀逸なデザインを思いついても、それを実際に作ることができなければ意味がありません。
パワーポイントでプレゼン資料を作るときに、必要な機能が理解できていないと、作りたいデザインが実現できません。
一方で、パワーポイント(MacではKeynoteでしょうか?)で
- どんな図形があるのか?
- どんな色の使い方があるのか?
- どんな図の加工方法があるのか?
といった引き出しは、たくさんあるに越したことはありません。
プレゼン資料の作成をしていく中で、頻繁に使うコマンドは存在します。
それらを最低限押さえつつも、資料作成をたくさんこなす中で、使える引き出しを積極的に増やしていくことがポイントです。
3. 初心者が取り組んだプレゼン資料作成術
私は、資料作成について、プロのデザイナーやコンサルタントから体系的に学んだことがあるわけではありません。
独学で手法を学び、磨く中で、会社での資料作成を任せらるまでに成長した背景があります。
私ができたので、デザインの素人でも、見やすく、分かりやす営業資料を作り上げることは可能です。
いろいろ勉強して、現在実践しているプレゼン資料作成の大まかな流れな次の通りです。
- ストーリーを作成する
- デザインの全体像を練る
- スライドを作りこむ
以下、順に解説していきます。
3-1. ストーリーを作成する
まず、プレゼン資料で伝えたい内容やその根拠を整理します。
いきなり、デザインも一緒に考えるとわけがわからなくなるので、いったん文章ベースで考えていきます。
この時、聞き手に最も伝えたいこと、顧客に提案したいことを明確になっていることが前提です。
そのうえで、
- なぜその事柄が重要と考えているのか?
- 提案の背景にはどんな事柄があるのか?
- それを実践するとどんなメリットがあるのか?
といった主張を裏付ける論理を固めていきます。
最後に、主張と根拠をどのような順序で伝えていくのかを決めれば、聞き手が理解できる「ストーリー」が出来上がります。
スライド1枚ごとに、どんな内容を描いていくのかを決定します。
ストーリーの基本的な流れは「背景・課題→原因→解決策・提案→効果」です。
この流れに沿ってプレゼンに必要な内容を盛り込んでいけば、自然と論理的な説明資料を作ることができます。
3-2. デザインの全体像を練る
ストーリーができたら、次は、大まかなデザインを検討します。
3-1で作成したストーリーに対し、各スライドで伝えたいことをどんな図解を使って表現するのかを考えます。
思いついたデザインのレイアウトを簡単に構わないので、紙に書いていくと良いと思います。
スライドのレイアウトを考えていると、ページによってはストーリー作りで想定していた内容が少なすぎたり、多ぎたりすることがあります。
うまく表現できないと感じた時には、もう一回ストーリー作りに戻って、内容を再構成する必要があります。
また、デザインを考えていると、似たようなデザインのスライドが続いて、資料が単調になることがあります。
読み手を飽きさせないためには、単調さを減らしていくことが原則です。
スライドを作りこむ前に、それらに気づくためも、ラフなデザインを考えることは重要な作業です。
3-3. スライドを作りこむ
最後は考えたデザイン案をもとに、パワーポイントなどを使用して実際に資料を作成していきます。
ラフデザインが決まっていれば、最後のステップはひたすらツールを使って実践していく作業です。
文字・図形の大小や位置、色などの要素を丁寧に一つ一つ決定していきます。
4. 勉強になった参考書
上記で述べた資料作成の手法を身に着けるうえで、さまざまな参考書を読みました。
その中で、特に役に立ったと感じたものを3冊紹介します。
4-1. プレゼン資料のデザイン図鑑
書籍名 | プレゼン資料のデザイン図鑑 |
著者名 | 前田 鎌利 |
出版社 | ダイヤモンド出版 |
発売日 | 2019年3月21日 |
4-2. 外資系コンサルが実践する資料作成の基本
書籍名 | 外資系コンサルが実践する図解作成の基本 |
著者 | 吉澤 準特 |
出版社 | すばる舎 |
発売日 | 2018年6月26日 |
4-3. イシューからはじめよ
書籍名 | イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 |
著者 | 安宅 和人 |
出版社 | 英治出版 |
発売日 | 2010年11月24日 |
5. まとめ
本記事で、資料作成のヒントに少しでもなれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。